秘密を共有する者
今日も朝から天気が悪い。
一瞬の晴れ間にゴミ出しに行きたい。
今日はプラごみの日だ。
エアコンの風が直接当たるソファの上で着替える。
緩慢な動きでパジャマのボタンを外すたび寒さで鳥肌が立ち、ぶるりと身震いをした。
「おはよう」
大きな白いハムスターが、艶々の髪を跳ねさせて言った。
今週は彼が弁当を作る当番なので、白米が炊き上がった軽快な音楽でベッドから出てきたのだろう。
ホカホカのご飯を弁当箱に入れて、詰め過ぎたと笑っている。
昨日もそう言ってなかったか?
そんなことを考えていると、自然と口元が緩んだ。
「あ」
靴下が…靴下が裏返っている。
右足の先、裏側にしかないはずの縫い目がくっきりと浮き出ていた。
靴下の上からレッグウォーマーも装備してしまっている。
これからレッグウォーマーを外して靴下を脱いで表に直して履きなおして…
どう考えてもめんどくさ過ぎる。
「靴下裏返しではいちゃった」
ケトルを持った手が止まって、にっこりと私に白いハムスターが微笑んだ。
「そのままでいいよ」
たった一言で救われた私は、今日という日を片方靴下裏返しで過ごした。
止まっていた白くて大きな手が動き出して、ゆっくりケトルを傾ける。
コポコポと音を立ててコーヒー豆の香りがした。